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【第1章|はじまりと違和感】「あなたのため」と言われても

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やさしさに見せかけた、支配のような言葉

「それは、君のためを思って言ってるんだよ」

そう言われた瞬間、私は何も言い返せなくなった。

私のため。

家族のため。

子どものため。

そんな言葉を前にすると、自分の思いや希望はわがままのように思えてしまって、言葉を飲み込んだ。

本当に、私のためだったのだろうか。

私は納得できていなかった。

けれど、納得できないことを納得したように見せて生きるしかなかった。

納得できないまま、説得されていく

「成長して欲しくて言ってるんだよ」

「甘いよ、それじゃ通用しない」

意見を伝えても、「それは違う」と否定された。

私はただ話を聞いてほしかったのに、返ってくるのは「正しい答え」と「改善案」ばかり。

「あなたのため」と言われることで、反論ができなくなっていった。

納得していないのに、いつも「わかったふり」をして、飲み込んでいく。

そのたびに、自分がどんどん小さくなっていった。

「あなたのため」と言われるほど、信用できなくなった

「ゲームしてる時間を邪魔されたくない」

「その考え方、おかしいでしょ」

彼にとっての“正しさ”を押しつけられるたびに、私は自分の感覚を否定されているような気がした。

正しさではなく、気持ちを共有したかっただけなのに。

「あなたのため」という言葉は、やさしさに見えて、実は“支配”の始まりだったのかもしれない。

そう気づいた頃には、もう自分の気持ちを話すことすら難しくなっていた。

本当に、私のためを思ってくれる人は

もし本当に、私のためを思ってくれる人なら。

私の話に耳を傾け、気持ちを受け止め、いっしょに考えてくれるはずだった。

正解を押しつけるのではなく、「どうしたい?」と聞いてくれる人だったはずだ。

「あなたのためだ」と言われたときの違和感。

それは、私が“守られていない”と感じていたサインだった。

今ならわかる。

あの頃の私は、ずっと、自分の感覚を信じたくて、誰かに「それでいい」と言ってほしかったんだ。

心の奥に残った“違和感”を、私は記録していく

「あなたのため」と言われても、私は納得できなかった。

納得できないまま、何度も飲み込んで、自分の心に嘘をついていた。

けれど、心の奥にはちゃんと、“おかしい”というサインが残っていた。

それを今、ひとつずつ言葉にしている。

この記録は、私自身を守るためのもの。

同じように「あなたのため」と言われて苦しくなった誰かの、気づきになるように。

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