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【第9章|夫がカウンセリングを受け始めた日】論理で武装する人は、心に触れられるのか?──カウンセリングにかける希望と疑い

私の夫は、感情をあまり表に出さない。

どんな話題でも、すぐに「正しさ」で返してくる。

私は苦しかった。でも、彼は言う。

「そんなつもりはなかった」

「誤解させたなら申し訳ない」

「論理的に考えれば、こういうことだよね?」

それは一見、冷静で大人の対応に見えるかもしれない。

でも私には、ずっとこう聞こえていた。

「あなたの感じ方は間違ってるよ」

「僕の方が筋が通ってるよ」

彼は、感情を見つめるより先に、正しさを掲げる。

それが「論理武装」ということなんだと思う。

目次

論理武装する人の心理

心理学的には、論理で身を守ろうとする人は「自己防衛」が強い傾向にあるそうだ。

本音を見られるのが怖い、傷つくのが怖い。

だから、徹底的に理屈を積み上げて、感情を封じ込める。

私の夫も、きっとそうなんだと思う。

自分でも気づいていない傷や不安があって、それを“論理”で覆い隠してきた。

カウンセリングで変われるのか?

私の中には、ふたつの気持ちがある。

ひとつは、**「変わってほしい」という願い。

もうひとつは、「どうせ無理なんじゃないか」**というあきらめ。

だって、あんなに頑なな人が、

カウンセラーの前で素直に心を開けるだろうか?

質問されたらまた、あの「正論」で返すんじゃないか?

「でもそれって結局、被害者意識だよね?」

「カウンセリングの目的って、感情を整理するだけじゃないの?」

そんな風に、また“正しさ”で壁を作ってしまう気がしてならない。

それでも私が願うのは

人は「自分を守る方法」に気づいたとき、ようやく変われる。

今までの論理武装も、結局は自分を守るためだったと気づけたとき、

初めてその鎧を脱げるかもしれない。

そのためには――

「間違ってるよ」ではなく、

「それって、怖かったんじゃない?」

と問いかけてくれる人の存在が必要だと思う。

それが、信頼できるカウンセラーであれば、

もしかしたら、少しずつでも、変われるのかもしれない。

結び

私はまだ、彼が本当に変われるかどうかは分からない。

でも、変わろうとするかどうかは、見ていたいと思っている。

ただの“謝罪”や“優しい言葉”ではなく、

その奥にある“本音”や“弱さ”を、

彼自身が見ようとするのかどうか――

それが、私にとっては

「もう一度、信じていいのかどうか」の判断材料になる。

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