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【第5章|夫の変化を感じた日】夫が変わることの限界

――「変わってきた」と思ったのに、どうしてまた同じことを繰り返すの?――

夫が少しずつ変わり始めたきっかけは、会社でのトラブルでした。

その出来事を通じて、「人にどう伝わるか」という視点を、ようやく意識するようになった彼。

それは、私にとっても小さな希望の光でした。

でも――現実は、そんなに甘くありませんでした。

目次

変化はした。でも、“本質”は変わらない

夫は、「ありがとう」「ごめんね」が言えるようになりました。

前よりも言葉にする努力は、たしかに見えるようになった。

でも――その言葉が、どこか上滑りして聞こえてしまうのです。

なぜなら、自分の言葉が「どれだけ相手を傷つけたか」についての実感が、あまりにも薄いから。

私は何度も伝えてきました。

「そういう言い方はやめてほしい」

「その話し方、責められているように感じる」

「私をバカにしているように聞こえる」

けれど彼は、素直に「そうだったんだね、ごめんね」とは言えません。

代わりに返ってくるのは――

「なんでそう思うの?」

「どうしてそう聞こえるの?」

「それって君の受け取り方じゃない?」

まるで、私の感じ方に証明が求められているかのようで。

「納得」しないと行動を変えない夫に、私はだんだん疲れていきました。

「やめて」と言っているのに、それを“交渉材料”のように扱われる。

私の「苦しい」という言葉には、いつも“理由”と“説得”が必要で。

話すたびに、心がすり減っていくのを感じていました。

変わったように見えても、根っこは変わらない

言葉では「ありがとう」「ごめんね」と言える。

でも、その奥にあるはずの“共感”や“気づかい”が感じられないと、

私の心は、また同じように傷ついていくのです。

彼の判断軸は、いつもこう――

「自分が正しいかどうか」

「自分が納得できるかどうか」

私の「苦しい」「やめてほしい」という声は、

ただの「意見」や「反論」としてしか受け取られない。

その受け取り方のままでは、何を伝えても届かない気がして。

私は、限界を感じ始めていました。

伝える努力は、いつまで続ければいいの?

私ばかりが説明して、

私ばかりが傷ついて、

私ばかりが関係を守ろうとしている――

そんな感覚が、日に日に強くなっていきました。

「伝えることが大事」

「話し合いが必要」

それは、たしかに間違っていないかもしれません。

でも、伝えることに意味を見出せなくなっていくような関係なら、

それはもう、“対話”とは呼べないのかもしれない――

そんな風に思い始めています。

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