「それって私のため? それとも、あなたの支配?」
玄関でガチャッと音がすると、心臓がギュッと締めつけられるような感じがした。
夫が帰ってくる時間が恐怖の時間だった。
「なんなんだよこれは!」
今日は何を怒られる?----
どれもこれも、言われてもピンとこないものばかり。
なんとか怒りを沈めたくて、怖くて「ごめんなさい」と何度も謝った。
自分の価値観が絶対的であると思っていた夫はモラハラを感じさせる”口癖”を使っていました。
今回は、私が実際に聞いてきた“夫の口癖”をご紹介します。
共通するのは、「あなたのため」と言いながら、じわじわと自尊心を奪っていくような言葉ばかり。
同じような経験がある方に、「あれっておかしかったんだ」と気づいてもらえるきっかけになれば嬉しいです。
1.「あなたのために言っている」
この言葉、やさしい響きに聞こえるかもしれません。
でも実際には、続くのは「だから○○しなきゃダメ」「だからこうすべきだった」という指導や批判ばかり。
頼んでもいないのに夫からアドバイスをしてくるときは、いつも言葉を使っていました。
余計なお世話である、ということに全く気が付かない。
私の境界に土足で入り込み、荒らされているという感覚がありました。
本人は全くそれに気が付かないどころか「いいことをしてやってる」と思い込んでいるから達が悪いのです。
2.「成長しないな」
これは、私が何かうまくできなかった時に、よく言われた言葉です。
夫は上司のように私を見て、評価を下す。
夫婦なのに、どうして「成長」という言葉を使われなきゃいけないのか。
いつから私は彼の“教育対象”になったんだろう。
その言葉を浴びるたび、自分に価値がないような気持ちになっていきました。
そのままでいては、夫から愛されない存在なんだと感じていました。
そうして、いつしか「自分が変わりたいから」ではなく、「夫に認められたいから頑張らなくていけない」という気持ちにさせられた。
それがこの言葉の怖いところです。
3.「なんでそんなこともできないんだ」
些細なこと——買い忘れ、子どもの準備、段取りミス。
そんなときに、ため息混じりに言われるこの一言。
こんなことで?と思うような場面でも、「できない=ダメな人間」と決めつけられるようでした。
私の“つまずき”は、すべて人格否定につながっていく。
気づけば、何をするにも萎縮していました。
またミスすれば怒られる。怖い。夫に見つかる前になんとかしなきゃ--
そうやってビクビクしながら過ごすようになっていきました。
4.「言い訳をするな」
私が自分の思いや背景を話そうとすると、「言い訳」とバッサリ。
何を言っても「聞く耳を持たない」という空気が漂っていました。
対等な関係じゃないんだ、と痛感した瞬間。
伝える努力が否定され続けると、人は“黙る”しかなくなるんです。
私が育児でどんなに苦しんでいても、それは言い訳と取られてしまう。
だから、毎日子供のことで悩んでもそれを夫には言わなくなった。
全てを私が抱え込んでいった。私は、理解して一緒に乗り越えてくれる人がよかった。
5.「間違っている」「違うでしょ」「おかしい」
私が感じたこと、思ったこと、選んだことに対して、すぐに否定の言葉。
彼の中には“正しさ”が常にあって、それに合わないものは全て「おかしい」と切り捨てられました。
私の感覚や価値観は、彼の中では「誤り」。
何を言っても通じない。
私自身が“間違っている人間”のように思えてきたんです。
「私がおかしいんだ。どうにかしないと、認めてもらえない。」そう思ってた。
夫は自分が信じるもの以外は、全部間違いだと思ってることに気づくまで苦しかったです。
気づいてからは、大事なことは、本当に悩んでいることを夫に相談しないで自分で解決することにしました。
1人で抱え込み考えることは時に苦しかったけど、相談したら全て夫の意見に飲み込まれてしまう、それよりはずっとマシだった。
こんな言葉を聞き続ける日々が、どれほど心を削るか
口癖は、ただの口ぐせじゃありません。
その人の思考や立ち位置、相手への見方がにじみ出るものです。
夫の言葉には、「上から目線」と「支配」が常にありました。
私の気持ちは置き去りにされ、「彼の正解」に私が合わせる日々。
でも、どんなに“正論”に聞こえても、
私は確かに、傷ついていました。
モラハラかどうか迷っているあなたへ
モラハラは「気づきにくい暴力」です。
そして多くの人が、「私が悪いのかも」と自分を責めがちです。
でも、あなたの“心のざわつき”が、いちばんのサインです。
「言葉の暴力かも」と思ったら、一度立ち止まってください。
誰かに相談することで、客観的に状況を見られるようになることもあります。
▼モラハラかも?と感じたら
• DV相談ナビ(全国共通):#8008
• 配偶者暴力支援センター(自治体ごとに窓口あり)
• 女性相談センターなども利用できます。
最後に:傷ついていい理由なんて、いらない
「私が傷ついた」と感じたその気持ちは、間違っていません。
理由や正しさなんていらないんです。
あなたの心が、「それはおかしい」と訴えているなら、それが何よりの証拠です。
限界を超えたら、そこから立ち直るのは簡単ではありません。
限界を超える前に、その違和感に気づいて。
身の回りの人に相談することから始めてみませんか?
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