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【第1章|はじまりと違和感】私が悪いのかもと思い込んでた日々

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何を話しても、受け止めてもらえない感覚

結婚してすぐの頃から、どこか息苦しさを感じていました。

何気ない会話も、どこか緊張してしまう。

お願いをしても「必要ないでしょ」「お前はいつも言い訳ばかり」と言われ、

話しかけると「うっとうしい」「いちいち言わなくていい」と冷たく返される。

最初のうちは、「私の話し方が悪いのかな」「何か機嫌を損ねてしまったのかな」と思っていました。

でも、どんなに言い方を変えても、反応は変わらず、次第に私は、言葉を選ぶことも、話すことも控えるようになっていきました。

私が悪いのかもしれない、という思い込み

私はずっと、「ちゃんとやれていない私が悪い」と思っていました。

もっと気を利かせればよかった、

もっと頑張れば、きっと関係はうまくいく——

そんなふうに、自分の中だけで解決しようとしていたのです。

ただ少しずつ、自分がどんどん小さくなっていくような感覚がありました。

「また責められるかも」「嫌な顔をされるかも」と思うと、自然と自分の気持ちを隠すようになりました。

何か伝えようとすると、遠回しに否定されたり、

「言ってることがおかしい」と言われたりすることがあり、

気づけば、謝ってばかりの毎日になっていました。

私はいつの間にか「全部私が悪いのかもしれない」と思い込むようになっていたのです。

「私が悪いんじゃないかも」と思えたのは最近になってから

夫との生活は年々すれ違いが増え、

いつしか会話のない夫婦になっていきました。

少しずつ変化が起きたのは、本当に最近のことです。

ある日、夫がこう言ったのです。

「俺も、カウンセリングをしてもらうことはできる?」

それは、何年もこちらの訴えに耳を貸さなかった人が、

初めて“自分の問題”として向き合おうとした瞬間でした。

驚きと戸惑いと、少しの安堵。

いろんな感情が入り混じりましたが、

それと同時に、「やっぱり、私だけが悪かったわけじゃなかったんだ」と、

やっと自分にそう言ってあげられた気がしたのです。

……だけど、正直、すんなりとは受け取れなかった。

彼は、「知花の治療に役立つかもしれないし」と言いました。

「あなたのため」と言うような調子で、

本音は“自分が楽になるため”“自分のため”という気持ちが透けて見えた。

これまでもそうだった。

私の気持ちを理解するふりをして、自分が得するように話を進めてきたことが何度もあった。

今回もどこか同じ匂いがした。

本当は、「私がつらかったことを知って、変わろうとしてくれているのかも」と期待したかった。

でもその言葉の奥に、「自分を守るため」の都合しか見えなくて、

心のどこかが、またすっと冷えたのを感じました。

それでも——

私は「変わるかもしれない」という希望を、完全に捨てきれなかった。

だからこそ、私は今も迷っているのかもしれません。

あの頃の私に伝えたい言葉

今なら、あの頃の私にこう伝えたいです。

「あなたは、悪くないよ」と。

どれだけ頑張っても、我慢しても、

ひとりで抱え込む必要なんてなかった。

誰かに話してもよかったし、助けを求めてもよかった。

声を上げられなかったのは弱さではなく、

それだけたくさん、気を張って生きてきた証。

あの頃の自分に、少しだけやさしい言葉をかけてあげたいと思っています。

次回

次回は【第8話|「家なのに、家じゃない」と思った瞬間】を予定しています。

同じように悩んでいる誰かの、心の片隅に届きますように。

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