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「いちいち、そういうのはいらない」と言われた日
「ありがとう」と言ったとき、彼はこう返しました。
「いちいち、そういうのはいらない」
少しでも感謝の気持ちを伝えたくて言った言葉だったのに、その一言で空気が凍りました。
私は言葉を飲み込み、なんでもないふりをして、そのまま食器を片付けました。
「思ってもないことは言えない」
あるとき、私は勇気を出して言ってみました。
「何かしてくれたら、ありがとうって言ってもらえると嬉しいな」
すると、彼は静かに、でもはっきりと言いました。
「思ってもないことは言えない」
その言葉を聞いた瞬間、私はもうお願いすることをやめました。
「ありがとう」を求めることが、彼にとってどれだけ重荷なのか──そう思い知ったからです。
会話が拒絶されるということ
それでも、話をしようとしたことは何度もありました。
けれど、話し始めるとすぐにこう言われました。
「もうわかったから、それ以上話さなくていい」
私が話している間、彼は頷きをわざと早くして、面倒くさそうに視線を逸らしました。
まるで、私の話が“不要なノイズ”であるかのように。
夫婦なのに、言葉が届かない
夫婦なのに、「ありがとう」も「ごめんね」も言えない。
気持ちを伝えようとするたびに拒まれ、
言葉を重ねようとするたびに遮られる。
それが、私たちの始まりでした。
次回予告|すり減っていった心と、誰にも相談できなかった理由
次回は、心が少しずつすり減っていった日々と、
周囲に相談できなかった理由について書こうと思います。
同じように悩んでいる方に、
少しでも「ひとりじゃない」と感じてもらえたら嬉しいです。
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