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【第1章|はじまりの違和感】「ありがとう」「ごめんね」が言えない人と暮らすこと

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「いちいち、そういうのはいらない」と言われた日

「ありがとう」と言ったとき、彼はこう返しました。

「いちいち、そういうのはいらない」

少しでも感謝の気持ちを伝えたくて言った言葉だったのに、その一言で空気が凍りました。

私は言葉を飲み込み、なんでもないふりをして、そのまま食器を片付けました。

「思ってもないことは言えない」

あるとき、私は勇気を出して言ってみました。

「何かしてくれたら、ありがとうって言ってもらえると嬉しいな」

すると、彼は静かに、でもはっきりと言いました。

「思ってもないことは言えない」

その言葉を聞いた瞬間、私はもうお願いすることをやめました。

「ありがとう」を求めることが、彼にとってどれだけ重荷なのか──そう思い知ったからです。

会話が拒絶されるということ

それでも、話をしようとしたことは何度もありました。

けれど、話し始めるとすぐにこう言われました。

「もうわかったから、それ以上話さなくていい」

私が話している間、彼は頷きをわざと早くして、面倒くさそうに視線を逸らしました。

まるで、私の話が“不要なノイズ”であるかのように。

夫婦なのに、言葉が届かない

夫婦なのに、「ありがとう」も「ごめんね」も言えない。

気持ちを伝えようとするたびに拒まれ、

言葉を重ねようとするたびに遮られる。

それが、私たちの始まりでした。

次回予告|すり減っていった心と、誰にも相談できなかった理由

次回は、心が少しずつすり減っていった日々と、

周囲に相談できなかった理由について書こうと思います。

同じように悩んでいる方に、

少しでも「ひとりじゃない」と感じてもらえたら嬉しいです。

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