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【第4章|本心が見えないもどかしさ】「ありのままを話して欲しい」――願いの記録

私はずっと願っていた。

「ありのままの気持ちを、話してほしい」と。

強がりでも、言い訳でも、取り繕った言葉でもなくて――

本当はどう思っていたのか、何に傷ついていたのか、何を恐れていたのか。

そのままを伝えてほしかった。

でも、彼の言葉はいつも遠回しで、

一見穏やかだけど、核心に触れないような説明だった。

私が「違和感」を覚えるたびに、

「そんなつもりはなかった」と言い、「自分は悪気はなかった」と返される。

たとえ私がどれだけ傷ついたと伝えても、

その傷の重さに、彼の言葉が届くことはなかった。

私が欲しかったのは、「正しさ」ではなく「理解」だった。

思いやりや、弱さを見せてくれること、

その人自身の本音を、私にだけは見せてほしかった。

なぜ「ありのまま」を話してくれなかったのか。

私がそれを受け止められないと思われていたのか、

それとも、彼自身が自分の本音と向き合えなかったのか。

わからないまま、私はただ祈っていた。

「怖くても、格好悪くても、いい。あなたの言葉で語ってほしい」と。

もう届かない願いかもしれない。

それでも私は、いまも心のどこかで願ってしまう。

“あなた自身の声で、話してほしい”

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