心療内科に初めてかかった日――
第二子を妊娠していたころ、私は限界に近づいていた。
お腹の中に命があるのに、心はボロボロだった。
夫からは、日に日に厳しくなる言葉。
何を言っても、「お前の捉え方が悪い」「それは甘えだ」と切り捨てられた。
さらに、義父の過干渉も重なり、気づけば呼吸が浅くなっている日が増えていた。
「薬が飲めないから我慢する」──そんな選択しかできなかった
妊娠中、私はネットで必死に検索した。
「妊娠中 心療内科」「妊娠中 ストレス 薬」
でも、どこを見ても「妊娠中の服薬は慎重に」と書かれていた。
だから、我慢した。
「産後に落ち着いたら行こう」
それが、当時の私ができる精一杯の自己防衛だった。
里帰り中に夫に打ち明けた
それでも、誰かにこの気持ちを伝えたくて
実家での里帰り中に、夫にラインで言った。
「産後落ち着いたら、心療内科に行こうと思ってる」
夫にはまだ、本当のことは言えなかった。
「あなたの言葉が辛い」「私は壊れそう」――
それはどうしても言えなくて、義父の過干渉のことだけを理由に伝えた。
すると、夫はこう言った。
「心療内科に行くってことは、自分の過去を遡ることになるけど、それでいいのか?」
その意味が、わからなかった。
どうして今、こんなに辛いと伝えているのに
問い詰められるんだろう?
どうして心配の言葉より先に、「それでいいのか」なんて、突き放すような言い方をされるんだろう?
私は、ただ「助けて」が言いたかっただけなのに。
初めての診察室で、やっと心に光がさした
産後、ようやく心療内科にかかる決意をした。
診察室の椅子に座った私は、何から話せばいいか分からずにいた。
でも先生は、ゆっくりと話を聞いてくれた。
「つらかったですね」と言ってくれた。
たったその一言で、私は少し、呼吸がしやすくなった。
「心療内科に通ってる人」扱いされたあの日のこと
その後も、私は夫に少しでも気持ちを伝えようとした。
でもある日、私が何かを言おうとした時、夫はこう言った。
「今は心療内科に通ってるから、言えないけどさ」
私は一瞬、凍りついた。
“ああ、この人にとって私はもう『まともじゃない人』なんだ”
そう思ってしまった。
自分の心を守るためにやっと踏み出した一歩が、
こんなふうに軽く扱われるなんて、思ってもみなかった。
自分の心の声に、耳をすませて
心療内科に行くことは、恥ずかしいことじゃない。
弱さじゃない。
誰に理解されなくても、自分で自分を守るための行動だったと、
今は胸を張って言える。
あのときの私は確かに弱っていたけれど、
ちゃんと助けを求めた。
それは、強さだったんだと思う。
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