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【第4章|本心が見えないもどかしさ】「もう無理」と思った日と、その後の変化

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あの日、私は心を閉ざした

ある日を境に、私たちの関係は急展開を迎えました。

きっかけは、たった一言。

…なのに、その言葉が何だったのか、今はもう思い出せません。

でも、あのとき私の中で起こった感情の変化だけは、今も鮮明に覚えています。

「もうこの人と話しても無駄だ」

その瞬間、何かが音を立てて崩れたのです。

それまで私は、傷ついても、怒っても、戸惑っても、

なんとか言葉を交わそうとしていました。

でもこの日を境に、私は心を閉ざしました。

話しかけられても、最低限の返事しかしませんでした。

半年近く、まともな会話を交わすことはなかったと思います。

沈黙の中で私が選んだもの

もちろん、苦しかった。

私には夫以外に話し相手がいなかったから。

それでも私は、自分を守るために、歯を食いしばって沈黙を貫きました。

「どうして話してくれないの?」

そんなふうに言われても、私は頑なに心を閉ざしていた。

「絶対に話してやるもんか」

それが当時の、唯一の私の意地でした。

気づけば「ありがとう」「ごめんね」が聞こえた

それから、少しずつ時間が過ぎて、

ある日ふと気づきました。

夫が「ありがとう」や「ごめんね」を言えるようになっていたことに。

以前の彼にはなかった変化でした。

感謝の言葉も謝罪の言葉も、どこか他人事みたいだった彼が、

ようやく、自分の言葉でそう言うようになっていたのです。

私はそれを見て、

「ああ、この人の中にも何かが変わったんだな」と思いました。

でも、心はもう戻れなかった

でも――

私の心は、もうその変化だけで許せる段階を過ぎていました。

「ありがとうを言わない人だ」と思っていた頃の、

言葉にならないストレスは確かに減りました。

でも、心の距離を縮めたいとは思えなかった。

ただ静かに、変化を眺めていました。

そこに嬉しさがなかったわけじゃない。

でも、もう一度近づきたいという気持ちは、残っていなかったのです。

今の私は、別の場所に立っている

私たちは、どこか遠くで、

別々の時間を生きていた。

言葉は交わせても、心までは届かない。

そんな感覚だけが、じわりと残っていました。

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