― それでも、わかってほしかった ―
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会話は、ただの尋問に変わった
あのときのことは、今でも忘れられない。
私は勇気を出して言った。
「最近、苦しいって感じることが多いの」
すると彼は、すぐにこう返した。
「どうして?」
「……なんか、毎日が緊張してて、安心できる時間がなくて」
「どうして?」
「あなたの言葉に傷つくことがあって、それが積み重なって…」
「どうして?」
「……もう、うまく説明できないよ」
私は、最後には黙るしかなかった。
どれだけ言葉を尽くしても、返ってくるのは「どうして」だけ。
夫はどこか勝ち誇ったような顔をしていた。
“答えられない私が悪い”という空気に包まれていく。
話し合いじゃなくて、試されているみたいだった
私は心を開こうとしただけなのに。
問い詰められて、分析されて、
まるで私の感情が「間違い探し」の対象になっていた。
そんな会話を何度も繰り返して、
私はもう「話すこと」を諦めるようになった。
「どうして?」の奥にある無関心
“理解したいから聞いてる”のではなかった。
本当は、ただ「納得したいだけ」。
私の感情を「理屈」で打ち消したかっただけ。
そうじゃなければ、5回も「どうして?」を重ねて
追いつめるようなこと、しないはずだから。
最後に
「苦しい」と言った私に、
「どうして?」とだけ返すあなた。
私はあなたに責められたくて話したわけじゃなかった。
ただ、感じたことを聞いてほしかっただけだったのに。
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