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夫が泣いた日

先日、夫にLINEで伝えたことがありました。

「もし今度のカウンセリングで話すテーマが決まっていなければ、あなたが批判的な言動をしてしまうことについて話してほしい」――そう伝えたのです。

そして、私がそれによってどれほど影響を受けてきたかも添えました。

すると夫からは、

「今度それについて話してみるよ」

と、まるで要件だけに答えるような返信がありました。

私はそこで胸が苦しくなりました。

私がその言葉に至るまでに、どれほどの苦しみがあったのか。

その心情を踏まえず、ただ「そうする」と返されたことが、とてもつらかったのです。

そこで思い切って、「相手の心に寄り添えていない」と伝えました。

少し時間が経ち、階下に降りたときのことです。

私はそこで驚きました。

普段は涙を見せることのない夫が、目を腫らして泣いていたのです。

夫は、また私を傷つけてしまったことに気づき、それがつらくて泣いていたようでした。

目次

伝えた私の思い

夫の涙を見たあと、私は自分の気持ちを夫に伝えました。

「あなたが泣いて、素直に自分の気持ちを出せるようになったことは、うれしいと思っている。

ただ、私はまだ傷を負っていて、あなたを受け止められる状態じゃない。

日々、不安な気持ちと怖さを抱えているし、あなたに対する恐怖心もある。

これを治していくには、時間がかかると思っている」

さらに私は、夫自身にも時間が必要だと思っていることを伝えました。

「あなたもまた、人の気持ちに寄り添えるようになったり、人と暮らしていけるようになるには、時間がかかると思う。

カウンセリングを受けたり、さまざまな感情を経験してみて、何を言われたらどんな気持ちになるのか考えることを、少しずつ重ねていってほしい」

私たちは、お互いに時間をかけながら少しずつ歩んでいきたい――

そんな話をしました。

話し終えたあと、私は思ったよりも冷静で自分でも驚きました。

けれど、ちゃんと自分の思いを伝えられた気がしました。

日々の回復と小さな変化

あの日のやり取りのあと、私は自分の感情を少しずつ整理できるようになりました。

夫の涙や反応を見たことで、「彼も変わろうとしている」という事実を目の当たりにし、同時に私自身の恐怖心や不安も無視できないものだと再認識しました。

私は、自分の心の回復には時間が必要だと感じています。

日々の不安や怖さをただ抱え込むのではなく、一つひとつの感情に向き合い、自分がどう感じているのかを言葉にする。

そうすることで、少しずつではありますが、夫に対しても穏やかに接する余裕が生まれてきました。

一方で夫も、今回のように自分の気持ちを涙として表せるようになったことは、小さな変化の一つです。

以前なら、私の言葉に素直に向き合うことなく、批判や反論で返していたかもしれません。

しかし今は、自分の加害性に気づき、それを受け止めようとする姿勢を見せてくれるようになっています。

私たちの関係はまだ完璧ではありません。

それぞれに傷があり、恐怖心や不安が残っているからです。

でも、お互いに時間をかけ、少しずつ歩み寄ろうとしている――その事実だけでも、私にとっては希望に感じられます。

日々の意識とカウンセリングの気づき

私たちの関係を少しずつ前に進めるために、私は日々、自分の感情に丁寧に向き合うことを意識しています。

不安や恐怖心を感じたとき、それを抑え込むのではなく、「今、私はこう感じている」と自分に言い聞かせるようにしています。

同時に、夫に対しても「今は受け止められない」という正直な気持ちを伝えることで、自分を守りながらコミュニケーションをとるようにしています。

カウンセリングでは、私と夫、それぞれの立場や感情を客観的に整理することができました。

私が傷ついた背景や恐怖心、夫が批判的な言動に至るまでの心理的な流れを理解することで、お互いの行動が少しずつつながって見えるようになったのです。

夫も、カウンセリングを通して「自分がどんなときに人を傷つけてしまうのか」「どうすれば相手の気持ちに寄り添えるのか」を考える時間を持てるようになりました。

積み重ねが生む変化

日々の小さなやり取りの中でも、変化の兆しは見えます。

夫が自分の感情を言葉や涙で表せるようになったこと。

私が怖さを感じながらも、自分の気持ちを冷静に伝えられるようになったこと。

それは決して大きな一歩ではないかもしれません。

でも、この積み重ねこそが、私たちの関係を少しずつ前に進める力になっていると感じます。

お互いに時間をかけながら、自分の感情と向き合い、相手の気持ちに少しずつ寄り添う――

そのプロセスを大切にしながら、私は今日も前を向いて歩んでいます。

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