私の夫は、感情をあまり表に出さない。
どんな話題でも、すぐに「正しさ」で返してくる。
私は苦しかった。でも、彼は言う。
「そんなつもりはなかった」
「誤解させたなら申し訳ない」
「論理的に考えれば、こういうことだよね?」
それは一見、冷静で大人の対応に見えるかもしれない。
でも私には、ずっとこう聞こえていた。
「あなたの感じ方は間違ってるよ」
「僕の方が筋が通ってるよ」
彼は、感情を見つめるより先に、正しさを掲げる。
それが「論理武装」ということなんだと思う。
論理武装する人の心理
心理学的には、論理で身を守ろうとする人は「自己防衛」が強い傾向にあるそうだ。
本音を見られるのが怖い、傷つくのが怖い。
だから、徹底的に理屈を積み上げて、感情を封じ込める。
私の夫も、きっとそうなんだと思う。
自分でも気づいていない傷や不安があって、それを“論理”で覆い隠してきた。
カウンセリングで変われるのか?
私の中には、ふたつの気持ちがある。
ひとつは、**「変わってほしい」という願い。
もうひとつは、「どうせ無理なんじゃないか」**というあきらめ。
だって、あんなに頑なな人が、
カウンセラーの前で素直に心を開けるだろうか?
質問されたらまた、あの「正論」で返すんじゃないか?
「でもそれって結局、被害者意識だよね?」
「カウンセリングの目的って、感情を整理するだけじゃないの?」
そんな風に、また“正しさ”で壁を作ってしまう気がしてならない。
それでも私が願うのは
人は「自分を守る方法」に気づいたとき、ようやく変われる。
今までの論理武装も、結局は自分を守るためだったと気づけたとき、
初めてその鎧を脱げるかもしれない。
そのためには――
「間違ってるよ」ではなく、
「それって、怖かったんじゃない?」
と問いかけてくれる人の存在が必要だと思う。
それが、信頼できるカウンセラーであれば、
もしかしたら、少しずつでも、変われるのかもしれない。
結び
私はまだ、彼が本当に変われるかどうかは分からない。
でも、変わろうとするかどうかは、見ていたいと思っている。
ただの“謝罪”や“優しい言葉”ではなく、
その奥にある“本音”や“弱さ”を、
彼自身が見ようとするのかどうか――
それが、私にとっては
「もう一度、信じていいのかどうか」の判断材料になる。

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