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【第2章|モラハラの実態と心の揺れ】「論点をずらすな」と言われ続けて

tadasisa

―― 私が言いたかったことは、いつもすり替えられていった。

「論点をずらすな」

「その言葉はおかしい」

「もっと本を読んでこなかったの?」

ただ、気持ちを伝えたかっただけなのに。

心の中で起きたことを話そうとすると、言葉の揚げ足を取られる。

話の焦点がすり替えられて、いつの間にか

私が「感情的で論理の通じない人」になっていた。

目次

気持ちを伝えたかっただけなのに

たとえば「昨日のあの言い方がつらかった」といった時も、

「言い訳をするな」

「弱すぎる」

「だからどうしてほしいの?」

「何をどうしてほしいのか、具体的に言わないとわからないでしょ?」

と詰め寄られる。

私が、ただ「つらかった」と感じた事実を伝えたかっただけ。

つらかったという私の心を受け止めて、次から言葉に気を付けてほしかっただけ。

感情を言葉にして、やっとの思いで差し出したのに。

返ってくるのはいつも、

「それはおかしい」「弱い」「わかるように言わないのがいけない」「論点がずれてる」――。

私は、議論をしたいわけじゃない。

正しさを競いたいわけじゃない。

ただ、感じたことを伝えたかっただけ。

なのに、いつも「論点をずらすな」と責められる。

いつの間にか、私が悪い、伝え方が下手な人にされていく。

論点をずらしていたのは、むしろ彼の方だった

私が話そうとすると、相手は必ず“話の重心”を変えてきた。

たとえば、

「私がこの言葉に傷ついた」と伝えたら、

「弱すぎる。なんでそうなるの」「俺だったら平気」「豆腐メンタル」と返される。

その言葉で、私の気持ちは置き去りにされる。

まるで“おあいこ”にして、話の重さを軽くしようとしてくる。

結局、私が感じた苦しさは、何も解決されないまま、会話はうやむやに終わってしまう。

私はいつも、言い終わることができなかった。

安心して話せる場所を、持てなかった。

「伝え方が悪い」と言われ続けた

「どうしたいか説明して」

「気持ちだけじゃ伝わらない」

そう言われるたびに、私は自分の言葉を疑った。

自分が悪いのかな、もっと説明しないといけないのかなって。

でも、本当は違った。

「伝えようとしてる気持ち」を受け取る気が、相手にはなかっただけだった。

やっと伝わった、と思ったら――

何度も話し合いを重ねて、やっと「そういう気持ちだったのか、わかった」と言われた。

ほっとして、心が少しゆるんだ。

でも、そのあとで必ず付け足される一言がある。

「でも俺も、言わないけど知花に対して不満があるけどね」

まるで、「完全に受け取るつもりはないよ」と言われてるようだった。

気持ちを認められたように見せかけて、最後に必ず傷を残してくる。

心の奥をそっと撫でて、すぐに爪を立ててくるような言葉だった。

本当の論点を見失わないで

私は、ずっと「論点をずらしてる」と言われ続けた。

でも、本当にずらしていたのは――あなたの方だった。

言葉を受け止める気がないまま、

話をすり替え、自分の正当性だけを守ろうとする態度。

その繰り返しが、私を黙らせた。

でも私は、もう自分を疑わない。

あの時の私の言葉には、ちゃんと意味があった。

その気持ちは、今も確かにそこにある。

嘘じゃなかった。間違ってなんかいなかった。

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