―「変わってほしい」と願いながら、それでも変わらなかった現実と、自分を守る選択―
出産という大きな出来事は、私にとって命をかけた体験でした。
眠れない夜が続き、身体も心も限界だったあの時期。
「大変だったね」「ありがとう」
その一言が、どれほど救いになったか。
けれど、私が耳にしたのはその反対でした。
変わってくれるかもしれない——そんな希望を信じて
妊娠中から、私は「子どもができれば、夫はきっと変わってくれる」と思っていました。
父親になることで責任感が生まれ、私に対しても思いやりを持ってくれるのではと、淡い期待を抱いていました。
けれど現実は、まるで違っていました。
産後、私の世界は一変しました
眠れない日々、終わらない授乳と抱っこ、どんなに疲れていても待ったなしの育児。
そんな中でも、私は子どもの顔を見ると少しだけ力が湧いてきました。
だけど、その分、夫との心の距離は日に日に遠ざかっていった気がします。
「変わってほしい」
何度もそう思いました。
一緒に子育てをしてほしかった。
私の大変さを、少しだけでも想像してほしかった。
でも返ってきたのは、
「仕事の方が大変。別に代わってもいいよ」
という言葉。
その一言が、私の心をさらに深く冷やしました。
代わってもいい?
妻にそんな冷たい言葉しかかけられないの?
あの日から、私たちの間に決定的な「何か」ができたように感じました。
夫は悪気なく言ったのかもしれません。
でも私は、自分の感じている「苦しさ」や「孤独」を、彼に伝えることが怖くなっていきました。
きっとまた、「それぐらいで」と言われるんじゃないか。
「甘えてる」と受け取られるんじゃないか。
そんな予感が当たることを、私は何度も経験していたからです。
目の前にいるのに何もしない
夫は子供が目の前にいるのにずっとゲームをしていました。
目の前にいるのに、何もしない人間
その存在が、私のストレスをさらに大きなものにしました。
さらには、気になることがあったときだけゲーム機から手を離さずに
「なんでちゃんと見てないんだ」と言う夫。
こんなことなら、いっそのこと居ない方がマシだーーー
そんなことを思う夜が何日もありました。
育児の相談すれば、無茶苦茶な理論を押し付けられる
はじめての離乳食。10倍粥で始めようと思うと話すと、夫は言いました。
「おかゆはまずそうだからやらない。バナナでやる。」
育児経験もないのに、独自の価値観で私がやろうとしていることを否定してきたのです。
それも「まずそうだから」という理由で。
産婦人科の案内でも、友人の話を聞いても10倍粥で始めることを勧められていること言っても聞く耳を持ちません。
子どもが生まれても、自分の考えを譲らず、育児に関しても理屈を押し付ける夫。
混乱とストレスが、私の日常を覆っていきました。
「こんなことなら、話題出さなきゃよかった。」
そう思うことが何度もあり、育児の相談をすることはやめました。
本当は、夫婦で話し合いながら、悩みを分かち合いたかった。
自分を守るために、私は「期待しないこと」を選びました
言葉にしない。求めない。伝えない。相談しない。
そうすることで、自分がこれ以上傷つかなくて済むと信じていました。
でも、心の奥ではずっと、
「気づいてほしい」「わかってほしい」「相談したら、寄り添ってほしい」
という気持ちが消えずに残っていたのです。
感情を押し殺して、ただ“こなす”日々
私がどう感じているかよりも、彼の機嫌や理屈の方が優先される。
そう思うと、感情を見せることが怖くなりました。
怒らせないように、波風立てないように、私は黙って笑うことを覚えました。
けれど、心はどんどん離れていきました。
会話は減り、気づけば夫婦というより「育児のパートナー」以上でも以下でもない関係に変わっていきました。
自分を守るために始めた「心のシェルター」
気持ちを無理に伝えようとしても、届かない、跳ね返される。
その度に私は傷ついて、自分が間違っているような気がして、自信を失っていきました。
だから私は、感情を表に出すのをやめ、自分を守るために“心のシェルター”を築きました。
冷静なふりをして、淡々と家事と育児をこなす。
でもその裏で、「どうしてこんなに孤独なんだろう」と、涙が止まらない夜もありました。
変わらなかった現実と、私が選んだ「自分を守る」という選択
「きっと変わってくれるはず」と信じていた私が、
「もう変わらないかもしれない」と現実を受け入れるまでには、何年もかかりました。
でもそれは、諦めではありませんでした。
それは、自分の心を壊さないために、私が選んだ大切な“決断”だったのです。
次回予告
次回は、「無視されたこと」と「言葉を失っていく日々」について書いていきます。
最後に
今、こうして記録を残しているのは、
あの頃の自分が、ちゃんと感じていたことを「なかったこと」にしないため。
そして、同じように孤独を感じている誰かに、
「あなたの感じていることは、間違っていないよ」と伝えたくて。
もしあなたも今、産後の変化に戸惑い、
誰にもわかってもらえないと感じているなら——
どうか、あなたの心だけは、自分で守ってあげてください。
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