頼れる人が誰もいなかった
赤ちゃんが生まれてから、
私はずっと“ひとり”で育児をしていました。
実家は遠く、友人にも簡単には会えない。
夫は仕事で帰りが遅く、家にいてもどこか他人事。
何をどう頼ればいいのかも分からず、
「ひとりでやるしかない」と、自分を追い込むように毎日を過ごしていました。
感情を共有できない夫とのすれ違い
赤ちゃんのことで悩んだり、泣きたくなる夜もあったけれど、
夫に話しても「大丈夫でしょ」「みんなそうだよ」と言われるだけ。
つらい気持ちを話しても、心が通じた感覚がなくて、
「分かってもらえない」という寂しさがどんどん大きくなっていきました。
誰かと感情を共有できないことって、こんなにも孤独なんだと知りました。
泣き止まない赤ちゃん、止まらない不安
赤ちゃんは何をしても泣き止まず、
私は昼も夜もなく抱っこして、揺れて、声をかけて。
なのに、何時間たっても泣き止まない。
「私、母親に向いてないのかもしれない」
「どうしてこの子はこんなに泣くの?」
そんなふうに考え始めたときから、心の中で何かが崩れ始めました。
誰とも会話しないまま、1日が終わる
外に出る元気もなく、家の中で赤ちゃんと2人きり。
「おはよう」も「お疲れさま」もない。
誰とも会話しないまま日が暮れて、また朝が来る。
自分の存在が、どんどん透明になっていくような感覚がありました。
そしてふと、こんな気持ちがよぎったんです。
「もう、消えてしまいたい」
赤ちゃんをどうにかしてしまいそうで、怖かった
ある日、あまりに泣き止まない赤ちゃんを前に、
思わず大きな声を出してしまいました。
泣き叫ぶ赤ちゃん、怒鳴る自分、その瞬間の光景が頭から離れません。
ほんの一瞬、「もう、どうにかなってしまえば楽なのに」と思った自分が怖かった。
そんなこと、口に出せるわけがない。
でも、確かにそう思った瞬間があったんです。
あれは「産後うつ」だったのかもしれない
今だから言える。
あのときの私は、心の限界を超えていたのだと。
それでも「母親なんだから頑張らなきゃ」と思って、誰にも助けを求められなかった。
自分が悪いんだと、責めてばかりいました。
でも本当は、産後うつは特別なことじゃない。誰にでも起こりうる心の不調なんです。
同じように苦しんでいるあなたへ
● 赤ちゃんを愛していても、つらいと感じるのは当たり前
● 泣きたいときは泣いていい
● 頼る場所がないなら、まずは自分の気持ちに「気づく」ところから
産後うつは、甘えではありません。
静かに、でも確実に心を蝕む病気です。
決してあなたのせいではない。
困ったときの相談窓口
誰にも言えない気持ちがあっても大丈夫。
あなたの声を、ちゃんと聞いてくれる場所があります。
▶︎ こころの健康相談統一ダイヤル
📞 0570-064-556(ナビダイヤル)
全国どこからでも、お近くの相談窓口につながります。
(各都道府県の精神保健福祉センターなどへ自動転送)
▶︎ 産後ケア・母子保健事業(自治体の保健センター)
お住まいの市区町村で、「保健センター」「子育て支援課」などに連絡してみてください。
産後の訪問支援、ショートステイ、専門相談などの制度があります。
▶︎ NPO法人マドレボニータ
産後うつ予防や産後ケアのための情報発信・支援団体。オンラインのつながりもあります。
▶︎ 子育てほっとライン(公益社団法人 全国母子保健推進会議)
📞 03-3947-3000
平日10:00〜16:00(助産師など専門スタッフが対応)
▶︎ いのちの電話(つらい気持ち、消えてしまいたいときに)
📞 0570-783-556(午前10時〜午後10時)
📞 0120-783-556(24時間:毎月10日)
※どの窓口も匿名・無料で相談できるものがほとんどです。
※一歩がとても重いと感じるときは、LINEやメール相談からでも大丈夫です。
どうか、自分の心を後回しにしないでくださいね。
助けを求めることは、育児の放棄じゃない。
それは、**あなたと赤ちゃんを守るための“強さ”**です。
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