知らない土地、ひとりぼっちの始まり
結婚後すぐ転勤族の妻となった私は、慣れない土地での生活を始めたばかりでした。
家族も友達もいない場所に、たったひとり。
頼れるのは夫だけでした。
その生活は静かで、少しさみしくて、そしてとても心細かったのです。
だからこそ、夫との会話は私にとって何よりも大切でした。
今日見たもの、感じたこと──ただ、話したかった。聞いてほしかった。それだけでした。
でも、そのたった一言で、私は心を閉ざしていくことになります──。
「鬱陶しいから話しかけるな」──凍った時間
でもあるとき、夫にこう言われました。
「鬱陶しいから話しかけるな」
その一言を聞いた瞬間、言葉がうまく出てこなくなりました。
何か悪いことを言ったのかな?
今、話すタイミングじゃなかったのかな?
そうやって、必死に自分を責めながらも、心がスッと冷たくなっていくのを感じました。
寂しさを伝えたかっただけ。
繋がっていたかっただけ。
でも私の存在は「鬱陶しい」と言われるものだった。
それから私は、話すことが怖くなった
それから私は、話す前に考えるようになりました。
「このタイミングは大丈夫?」
「この話題は怒られない?」
と、言葉のすべてを一度飲み込んでから話すようになったのです。
その日から、少しずつ会話が減っていきました。
何かを話すと、「おかしい」「意味がわからない」と言われる。
涙がこぼれても、「違うって言ってるでしょ」と返される。
それでも私は、「伝えれば、わかってくれるかもしれない」と信じていました。
でも、伝えるたびに、拒否されていく感覚だけが積み重なっていきました。
「もうこの人と話したくない」と思った瞬間
そしてある日、ふとした一言をきっかけに、私の中の何かが限界を超えました。
その時の言葉はもう思い出せません。
でも、その瞬間、私は心の中でこう思いました。
「もうこの人と、会話をしたくない」
私の中に、小さな終わりが訪れた瞬間でした。
このブログを始めた理由
このブログでは、私自身の経験を淡々と記録していきます。
誰にも言えなかったことを、ここに残していきます。
同じように苦しむ誰かの、「わたしだけじゃなかった」と思える小さなきっかけになればと思っています。
次回予告|ありがとう、ごめんねが言えない人
次回は、「ありがとう、ごめんねが言えない人」について書きます。
引き続き、静かに綴っていきます。
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