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【第1章|はじまりの違和感】鬱陶しいから話しかけるなと言われた日

目次

知らない土地、ひとりぼっちの始まり

結婚後すぐ転勤族の妻となった私は、慣れない土地での生活を始めたばかりでした。

家族も友達もいない場所に、たったひとり。

頼れるのは夫だけでした。

最初の2週間くらいは、新しい環境に慣れることでいっぱいいっぱいで寂しさを感じる暇もありませんでした。

しかし、それを過ぎるとやることもなくなり、毎日静かな部屋でテレビばかりを見て過ごしていました。

この時まで、ニュースやワイドショーが同じ話題をずっと繰り返し流していることなんて知らなかった。

繰り返しテレビで同じ内容を見ているとうんざりした気持ちになっていきます。

街を出れば、私と同い年くらいの人が楽しそうに笑いながら飲み屋に向かっている、仕事終わりに仲間と談笑している姿も見えて眩しく見えました。

SNSで友達の様子を見れば、友達と楽しそうに過ごしていることがわかり、自分と比較して悲しくなったりもしました。

この時はまだ20代。友達が仕事やプライベートで忙しく楽しく過ごしているのに、まるで孤独な老後を見知らぬ土地で過ごしているようだった。

すごく寂しくて、そしてとても心細かったのです。

だからこそ、夫との会話は私にとって何よりも大切でした。

今日見たもの、感じたこと──ただ、話したかった。聞いてほしかった。それだけでした。

でも、そのたった一言で、私は心を閉ざしていくことになります──。

「鬱陶しいから話しかけるな」──凍った時間

赴任先についてきて1ヶ月くらい経った頃。

仕事で疲れて帰ってきた夫に、今日あったことの話を聞いてもらおうと話しかけました。

しかし、返ってきた言葉は冷たく厳しい一言でした。

「鬱陶しいから話しかけるな」

目は怒りに満ちていて、低く押し殺したような声だった。

その一言を聞いた瞬間、言葉がうまく出てこなくなりました。

何か悪いことを言ったのかな?

今、話すタイミングじゃなかったのかな?

そうやって、必死に自分を責めながらも、心がスッと冷たくなっていくのを感じました。

寂しさを伝えたかっただけ。

繋がっていたかっただけ。

でも私の存在は「鬱陶しい」と言われるものだった。

その後の夫は、話しかけてくるなという態度で眉間にシワを寄せながらゲーム。

「帰った後くらい、自分の時間が欲しい」と言われても、帰ったらゲーム、土日もゲーム。

私は、いつ話しかけていいのかわからなかった。

--言葉を飲み込むたびに、心の奥が悲しく痛んだ。あなたも、話しかけても拒否されて孤独を感じた経験がありませんか?

それから私は、話すことが怖くなった

それから私は、話す前に考えるようになりました。

「このタイミングは大丈夫?」

「この話題は怒られない?」

と、言葉のすべてを一度飲み込んでから話すようになったのです。

その日から、少しずつ会話が減っていきました。

何かを話すと、「おかしい」「意味がわからない」と言われる。

涙がこぼれても、「違うって言ってるでしょ」と返される。

それでも私は、「伝えれば、わかってくれるかもしれない」と信じていました。

でも、伝えるたびに、拒否されていく感覚だけが積み重なっていきました。

「もうこの人と話したくない」と思った瞬間

そしてある日、ふとした一言をきっかけに、私の中の何かが限界を超えました。

その時の言葉はもう思い出せません。

でも、その瞬間、私は心の中でこう思いました。

「もうこの人と、会話をしたくない」

私の中に、小さな終わりが訪れた瞬間でした。

このブログを始めた理由

このブログでは、私自身の経験を淡々と記録していきます。

誰にも言えなかったことを、ここに残していきます。

私は、自分自身が傷ついた経験をこのまま無かったことにしたくないと考えていました。ブログとして形に残すことで、この経験もまた意味のあるものできると信じています。

もしも、今もどこかで私のように苦しんでいる人がいるのなら、「わたしだけじゃなかった」と思える小さなきっかけにしたい。

この記録が、誰かの心に寄り添うものでありますように。

次回予告|ありがとう、ごめんねが言えない人

次回は、「ありがとう、ごめんねが言えない人」について書きます。

何かしてもらったら、ありがとう。

悪いと思ったら、ごめんね。

そんな子供の頃に教わってきたような当たり前のやりとりが、私たちの間では当たり前ではありませんでした。

お願いしたらきっと言ってもらえる、そう思っても叶わなかった。

それは、私の心の傷口を広げていくことになります。

次回、その日々と、私の心の変化について綴っていきます。

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